額縁に残る貴重な跡
現存する昔の額縁を詳細に調べていくと、興味あることがいろいろわかってくると言われています。
例えば、額縁に見られる蝶番から当初は大きな祭壇画の一部であったことを裏付けたり、また絵画の中で描かれていることがある埃などから保護するためと思われる垂れ幕や扉が取り付けてあったことを思わせる痕跡がある、額縁の外枠によくある細い溝状のあとから絵画を覆う引き戸の存在をうかがわせることなど。
また逆に額縁本来の姿と考えられている壁などにかけるのではなく、特段の事情あるときだけ保管状態だったもの(祈念画など)を引き出し、短期間だけ立てかけていたために不自然なほど汚れ方が少ないものがあるなど。
このような発見は、記録の少ないことで知られる額縁の歴史を知るうえで、見逃しやすい些細なことも非常に役立つ情報となることを示す良い事例と言えるかもしれません。